閉ざされたひと/恋月 ぴの
 



あっと気づいたときには
避けようがなくて
エンドルフィン働いてくれたのか
やっと死ねるのかなだなんて
奇妙な喜びに背筋ぞくぞくしたのだけど
むりやり右折してきたクルマに衝突した瞬間
数メートルはね飛ばされ
硬いアスファルトに背中から叩きつけられてしまった

どうしてなんだろう
日曜日の朝方
見通しの良い郊外の交差点なのに

通りがかりのおばさんに励まされても
次第に大きくなってきた救急車のサイレンにも

助かった喜びとは異なる感情に支配されている私がいた
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