ファミリー・コンピュータ/小川 葉
残しておきましょうと
言ったひとは
生まれて死に
その途中に僕らは生きているのだから
やっぱりナカグロは消せない
消せないものは
存在するしかないので
ファミリー
ナカグロ
コンピュータ
と声に出して発声した場合
なぜだかなつかしい
匂いがする
それを言葉にあらわせない理由は
おそらくナカグロのあたりに詩の領域が
不足してるからではないかと
さっき自作の詩を読み聞かせてみたら
鼻で笑われてしまった自称詩人が
ファミリーとコンピュータの狭間でゆれながら
あしたはどっちなのかもうわからないので
ジョーに聞くけれど
同情するなら金をくれというはずのその台詞は
今では少し違ってしまっていた
そのことがまだ
ジョーにはわからないのだと言う
戻る 編 削 Point(3)