歯型/
岡村明子
あなたに齧られた痕
二の腕の内側にくっきりと刻まれた
あなたの歯型
一晩たって紫色を帯びている
そっと唇を触れてみて
こんなやわらかい肌に
あなたが突き立てた歯の力強さを思う
そんなにまでして
私を食べたかったの？
食べるということが自分の一部に加えるという行為であるならば
私はもう十分にあなたの一部であるのに
それでもあなたは肉の感触を求めて
こんなに強く噛んだのね
噛ませてはくれない あなたなのに
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