殺されている物語/いねむり猫
子供たちの物語は
殺されてしまう
大人たちには まぶしすぎて 力に溢れ過ぎていて
胸に心地よく抱いておくことができない
子供たちの物語は 世界を壊してしまう
すでに流通している感動を 賞味期限切れにして
共感されている喜びを お約束だらけの儀式にしてしまう
子供たちの物語は
日々殺されている
親達は 子供たちの物語を
やさしく微笑みながら やわらかく 繊細に 修正する
そして 絞め殺してしまう
窒息させてしまう
手足をもぎ取ってしまう
使い古された大きな物語に 付け加えられていくのは
子供たちの物語の 無残な遺体
子供たちの体
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)