喪失としての時間−「存在の彼方へ」を読んでみる13/もぐもぐ
ことは決してない。
「経過=喪失」としての「時間」が「現前」しないというのは、これを思考する際には極めて不利な属性である。これを取り上げて直接論じることが出来なくなる。けれども、「経過=喪失」という語は、その「消えた」はずのものの名前であり、証拠としてある。
ここには言語表現一般が持つ、ネガティブなもの(存在しないもの)を表現する際の困難がある。「有」、「ある」は、「〜がある」という語で直接に描写できる。実在の有と、言語上の有は、完全に一致する。つまり、実在の有は、言語の上で「現前」することが出来る。それに対して「無」、「ない」は、「〜がある」という語によっては描写できない。「〜でない」と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)