甘えた声で不満げで/kauzak
後で降りてくるよと
サザンの曲を元ネタにした
ショートドラマのオムニバスを
見ている妻に声をかけて階上に登り
詩の投稿サイトとかをチェックしていたら
カチャリ
と
部屋のドアが開いて
ヒュワ
だか
アヒャ
とだけ声を残して
ドアが閉じる
その声は確かに妻のもので
不意を突かれて
変な擬音が耳に入ってきたものだから
居心地が悪くなって階下へ降りる
さっきの擬音のことを尋ねると
トイレに行ってすぐに降りてくるものだと
思っていたのになかなか降りてこないから
トイレで倒れてやしないかと見に行ったら
トイレには居なくて何処にいるのかなぁと
部屋を見たらコンピューターに向かってて
「ありゃ」と思ったのが声にも出ちゃった
と少し不満げな声で言う
姿が急に
愛おしく思えたりする
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