#37/
吉岡孝次
濃いウィスキーを一滴たらした夜にひろがる
昼は 望んでも得られない静寂。
買い換えた、二代目の目覚まし時計が
裏蓋をなくしたまま枕頭を守ってくれている。
「日々の営み」以上のことが要求される人生にあって
誰のものでも、そう 自分のものですらないのは
小振りなスタンドで賄う二部屋分の
闇。そして安息。
こんな夜がもう一度訪れるのだろうか と
思えばもうそこで
闇は
破れて。
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