十一月/智鶴
 
愛することは酷く醜いから、と
僕は君を殺しているところ
馬鹿みたいに笑って
苦しいほどに触れていた
冷たい今に

「凍える日々を過ごしました
 君がまた少し遠くなりました
 漸く何も見えなくなりそうです。」

君が笑って
雨が悲しくて

暗い

夢が覚めて、今が消えて
あの日、暖かかった君が笑う

「貴方には聞こえないの?
 見えないの?
 こんなに毎日が寂しいのに
 どうして貴方は美しくないの?」

夕方の雨を指先から
冷たい血のように流しながら
暗い夜に消えていく

何も知らなかった去年の秋を
忘れられずに引きずったまま
全てを連れて死んでいく

君が言葉を刺して
僕は君を殺して
二人
どこにもいなくなっていく
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