その瞬間に/乱太郎
なだらかな曲線を描いて
時間が蛇行している
本当は
霧状のものなのに
浮揚している
空虚な意識を投げ込んで
思考は楕円形のひもの上を回り続け
輝きを薄めていく
*
縛られた首筋から
滴り落ちる一滴の青い血
運命に抱かれたままに
満月の下
妄想と現実が
交互に揺れ動く
影の饗宴
僕の腕から皮膚が溶解し始め
血だらけの筋繊維が
ひくひくとひきつりながら
月光にさらされていく
澄んだ闇
宇宙空間に呼び寄せられる黒い大気
冷えきった騒々しさ
僕はここにいる
叫びは
重力を撥ね退けて
永遠の谷間に落ちていく
押し寄せ
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