声/かいぶつ
 
この世界では
声の大きい人が偉かった
悪声だろうと
美声だろうと
とにかくデカけりゃ良い
デカけりゃデカいほど
権力を持っていた

マイクを持てば
鬼に金棒ってもんで
スピーカーの大きさが
ステータスとなっている
けれどスピーカーが
大きい人の声ほど
割れて、反響し
聞き取りにくいものはなかった
声高に叫ばれる言葉ほど
支離滅裂だった

人は大声で
喚き散らしながら
我先にマイクを掴もうと
死にもの狂いだった
蚊の鳴くような声の奴は
社会から爪弾きにされ
発言権すら奪われた
強者と弱者が共存し
そこには徹底的な
格差があった

「言論の自
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