真夜中に詩は生まれる/haniwa
 
真夜中に詩は生まれる
飼犬たちの遠吠えと鉄筋の口笛
黒い水の流れと緩やかに割れるコンクリート
畳に落ちたタバコの火種
換気口から流れていく煙
自分との対話
きみはミカンの白い薄皮を剥いて
歯も生え揃っていない幼子に食べさせる
ぼくのからっぽの頭の中に
きみのそんな光景が詩を作る
夜の澄んだ空気と
駅で嘔吐する若い女
理由を乗せた無関心なヘッドライト
真夜中に詩は生まれる
労働者はキツい弁当とエロ本とビールを
深夜のコンビニで買い求める
手と手が触れることのないレジカウンター
1分間の偽りの温もり
きみのからっぽの体の中に
ぼくはできそこないの詩を流し込む

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