このままどこかに行ってしまってもいい気がした夜/ANA
 
あの日のことばかり思い出す
会ってはいけない、とわかっていたけど
もうこのままどこかへ行ってしまってもいい気がした
そんな夜
とうの昔に忘れたはずの電話番号
もう使われてないかもしれない
それでも君の声を聞きたくて
夜中の2時、受話器を手に取る
呼び出し音が5回まで続いたらそこであきらめよう
つー
つー
つー

出ない、ことを半分祈っている

つー
つー
そこで切ればよかったとおもう
でも、わたしはそうしなかった
電話の奥でくぐもった声が聞こえた
君が、受話器を取るその前に、私は君を感じていたのだ
何の言葉も用意してなかったから
私はおもわず取り乱してし
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