プレゼント/小川 葉
夜空を歩いてたら
サンタクロースに会った
そのことを君におしえたくて
さがしたけれども
みつからない
君ははじめからこの世界に
いなかった気がしてくるのだから
不思議なものだ
サンタクロースに
君のことをたずねてみても
なにも知らない
かわりに僕に
プレゼントの箱をひとつくれた
プレゼント
という言葉の意味も
やがて消えてしまいそうになるけれど
箱を開けてしまうことは
それ以上にかなしいことのような気がした
目を覚ますと
あたたかい家で
僕は父と母と暮らしていた
枕元にあるプレゼントの箱を開けると
君によく似た人形が
一体入ってい
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