夏日の午後/あずみの
 
夏空の下揺れる陽炎の中
紅いキンギョ草がほころんで
微かな風にゆらゆらと踊り
入道雲が天を昇る昼下がり

一陣の熱風が吹き付けて
街路樹がいっせいに葉音を奏でて
蝉の声は断末魔の叫びに似て

わたしの錆び付いていた時間が
いのちの音を聞いて
いのちの色を感じて
ゆっくりとゆっくりと動き出し
世界が再び廻転を始める

地面を焼く太陽は白く
足元に溜まる影は黒く
山の木々は深い緑で
水田には青空が映り

しゃがみこんだわたしの横で
紅い金魚が灼熱の空気を泳ぐ

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