とんぼ達と/砂木
 
今年の初雪に白く染まった林檎畑
ついこの間 葉にしがみつき隠れていた
とんぼも地面に落ちて
死骸になってしまっただろう
あれはまだ私がずうっと若い頃

バシャバシャという音が
霜の降りた朝の畑に響いていた
ジャージに長靴をはいて
林檎もぎのため畑の中を歩く
聞きなれない音にあたりを見回すと
とんぼが何度も繰り返し
草の上を上下に飛んでいた
その必死な様子にひかれて
側に行くと とんぼは逃げ
そして のぞきこむと

霜柱に凍った草の中に
別のとんぼが 動けなくなっていた

とんぼが とんぼを助けようとしている
そう感じたので 霜柱の草むらから
羽をつまんで
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