詩のための詩/小川 葉
 
 
詩は書くよりも
語るほうがいい

数日でも
数ヶ月でも
あるいは数年を費やした
詩だとしても

読んでもらいたい一心で
書いた詩は
いつもそこで無意味になる
あなたを前にして
はじめて詩とは
生まれるものだから

話しかけるように
声を聞き
また話しかけて
聞くように話しかけた
あなたの声と
わたしの声

詩のかたちを
していなくても
それが詩であることを
知っている

わたしたちは
いつもそうして
恋をしてきた
 
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