素粒ドライバー/
北斗七星
犬を散歩させながら
横目で聞こえないふりをして通り過ぎる
それでも鐘は鳴っていたんだ
以前からの場所で約束通り
声はかすれ
声はかすれ
嵐の雲は生きているように
そして
鐘を鳴らす鼓動は
壁のように立ち塞がる
霧を払いのけていく
こちらを振り向いた助手席の
僕の顔は微笑んでいたように見えた
そう見えたんだ
まぎれもなく僕は
まぎれもない僕の
ぼんやりとした
横顔を見抜いていた
その鐘は鳴り続いている
今も
以前からも
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