窓を叩くような/石川和広
生きてるのかな、この花
どうなんかな、生きてるのかな、この人
肩をゆすると花は俺を睨みかえしたが
恥ずかしそうに向こうに行ってしまった
向こうの車両もその先の車両も女性専用だというのに
その先もまたその先もずーっとその先になるとまた話は変わってくるけど
それはだいぶ先の話だからなさっきの花は寝ていたから
俺の頭に萎れてきたのでちょっと肩をこずいてしまった
そんなつもりじゃなかったのにあの花は行ってしまった
冬空が遠慮なさそうだ
どうしても恐くなってくる 窓から夕焼けが見えてしまう
暗い雲に夕焼けがなんか映画みたいに風雲急告げるみたいな
ちょっとつまんない
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