恋の言葉/小川 葉
言葉にならないことを
言葉にしなければならない
気がしてるだけで
声にならずに消えていった
言葉たち
僕はそれらを愛し
軽蔑した
毎日見送ることしかできない
君の横顔を見つめがら
言葉にならないのは
きっと
名前以上に知らないことが
ありすぎたから
だから僕は
名前を呼んだ
一度ではなく二度も
言葉が生まれるのを
振り返る君の微笑みに感じていた
発芽したばかりのきみどりに
はじめて触れるように
僕らは明日から
名前を呼びあうことができる
ただそれだけでよかったんだ
言葉なんて
はじめからいらなかった
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