楽園の柩/水島芳野
まるで夜空のような人だと思った。
それも、秘めやかな曇り空のような。
隠された月や星を私が見ることは叶わないから
まだ酔っていられる
そんな浅はかな思いで。
こんなみじめな箱庭の中で
どうして幸せになれるというの、と
白い頬をした少女は呟いた
そんな願いごと、もう潰してしまいなよ
小鳥がまだ呟いていた
あなたはまだそこに居るというの
いつ砕け散ってしまうとも知れないというのに。
人は星のようね、アダム
誰も彼も、その身を焼き尽くしながら駆ける人に願いを託す。
いつ消えてしまうかもわからないくせに、
そんな浅はかな願いで。
鮮やかだと笑っておくれよ、イヴ
どうせ君はまた罪深いその紅玉をもぎ取るんだろ?
あなたも私も神様も
私はみんな大嫌いよ
だけど同時に大好きよ
私は星にはなれないもの。
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