レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
これまで、レヴィナスが、言語の考察から導き出した「懐疑論」を梃子に、「異なった現実(リアリティー)」について論じようとしてきたのではないか、という推測を述べてきた。
ただ、そこでのレヴィナスの記述の仕方は、「真理」と「時間」の関係を念頭に置くという哲学の伝統に則ったものであるので、いかにも込み入った、理解のし難い感じであった。
だが、「異なった現実(リアリティー)」という話は、例えば「芸術」について関心を持つ者には、かなり重要な、興味深いテーマである。実際レヴィナスは、後の第二章で、「真理」と「時間」等との関係で、「芸術」について論じている。しかしそこでの記述も、ハイデガーの真理観、時
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