優柔不断も積もれば山となる/北村 守通
初めて死んだのは小学校二年生の時だった
足の届かない海に降りて
それから
真っ黒な海底と目があって
真っ黒の中に魂を委ねてみたが
白い太陽が目をこじ開けようとしたので
思わず瞼を閉じ直し
頑なに閉じようとしてみた
胃から逆流する潮水が
すっぱくて
不味くって
口の中が臭くって
生きることの代価を知った
それから
再び
門を叩くか叩くまいかで随分と悩み
パンフレットもなく決断の理由も掴めない上に
優柔不断だったので
決断出せずに時は過ぎ
今にいたる
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