恥丘の風景/udegeuneru
 


病院を出ると季節は夏から秋に
広すぎる中央分離帯にしかたなく植えつらねられた
街路樹をばっさばさと揺らす風
川といっしょに埋められた貝
ランドスケープ
ポケットに片手を突っ込んで
前かがみの姿勢で横断歩道をわたる俺は思う
計画だおれの
かなしき結末もそう悪くないが
かなしいっていうのは一体だれにとってか
いつもの部屋に帰り
誰の顔も見ずに買った弁当とカップラーメンを食いきれず残して
タバコを吸って
リハビリの疲れが残っててけだるくて
まだ昼だけど横になって寝た

やることがいっぱいあるのだ
やらなきゃならないことが
やらなかったらどうなるんだろう
やりたいことだけやっていけないものか
やりたいことだけをおれは
やってやってやりまくるんだ

やがてみえてくるだろう
バラのつぼみみたいに
世界中すべての陰部が俺に開く
俺のもおまえのもおまえの恋人のも
恥丘からすべてがみえるだろう






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