色/小原あき
小学生の時
わたしは薄水色だった
黄色のハンカチ
黄色の傘
黄色のお気に入りの服
だけど、わたしは
小学生の時
薄水色だった
黄色の長靴で
水溜まりに入るのが大好きだった
中学生の時
わたしは茶色だった
マラソンに
初恋に
高校受験の面接に
わたしのほっぺたは
常に桃色だった
だけど、わたしは
中学生の時
茶色だった
桃色の気持ちで
流れる茶色の髪を追いかけていた
高校生の時
わたしは紺色だった
白い紙に
黒い墨で
教室いっぱいに字を書いた
地面はわたしの伝えたいことで
真っ黒に染まった
だけど、わたしは
高校生の時
紺色だった
黒い書の上で
紺色の鎧に守られているのが心地よかった
今のわたしは何色だろう
その不確かさが
より一層
世界を複雑な色に変える
戻る 編 削 Point(23)