BadStripperKing/影山影司
 
い。あの野郎、ヘラヘラしているのも今の内だ。俺のヤツは、うんと悪い世界へぶっ飛ぶんだ。

 あれだけ文句を言っておきながら、俺はしっかりと報酬のカプセルをポケットに押し込んでいた。耳たぶにとりつけるて十秒もすると、サァっと意識が冷めるのを感じる。幸せだ。幸せが俺を包み込む。この感覚が幸せなのだ。これが無いと、人間は人間らしく生きていけない。意味もなく習慣に従って街を出歩くバカになるか、感情を売っ払って幸せになるか。この世界は随分単純だ。カプセルの中の液のように、ずっと澄み切っている。無人の大通りは俺の貸切のようだ。道端に落ちているベンチを引っ掴んで、ショーケースへ投げ込んだ。派手な音を上げてガ
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