ざくろのとき/
ゆうさく
ざくろの実がとけて
潮風が熟す
地をつたってゆく藍が
生々しくて、
気持ち悪くなる
黄色く滴る、
檸檬のころ
きみは恋して
ほら、みだら
張り裂けそうに
景色が膨張している
幻覚に、慈しみ
秋を、虐待する
咲き乱れた
せかいの面影、
銀杏に、乳
深く、シャングリラ
うつむく日傘は
上昇気流に告白
ふられて夕空
無情のうた
黄色く滴る、
檸檬のころ
ぼくは恋して
ほら、みだり
繰り返す哀の出産
ぼくの中の
最期の少年が
愛(かな)しい
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