熱と遺産の日/水町綜助
 
屋根の上白く、青かった
 なにか大切なことを告げようとしている人がいて
 口ごもっている
 その頬のように


 伝えるべきことを
 知りうる限りの言葉に変えても
 すべて間違いであり
 少しずつ間違えて
 階段をのぼるか
 下るかする


 その朝
 齟齬は少しずつ階段を上り
 僕は明け方の町を歩き
 頭の上に浮かんで
 遠くのぼってゆくそのなにかを見た











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