熱と遺産の日/水町綜助
 
    
    
    わらっていた
    こどもたちは
    もう鉄塔から降りた
    手のひらに
    赤錆を
    たくさんつけて
    ひとりが
    鉄錆を
    ピンク色の舌で
    舐めとって
    顔をしかめて
    唾液を吐き出す
    その味のことを
    うまくともだちに伝える
    言葉をもっていない


 赤い手のひらは
 空の白いところをつかむ
 そしてたぐり寄せて
 青色にちかづく
 いつか髪の毛の先までその色に
 色づいてしまうなんて
 だれも知らなかった
 きれいだったんだ
 白
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