頬杖/見崎 光
一枚
また一枚
様子が変化を招く時
枝先の鼓動がかたどった
一瞬という尊さに
涙が零れた
過ぎた時間は
ひとつとして
同じ表情を
描写してはいない
進む時間もまた
ひとつとして
同じ風景を
描写してはくれない
無意識が掴んだ日常は
意識の配下で変化を重ね
地面を暖める
こうして物思いに更けてる間も
はらり、はらりと
枝を離れて
どこ吹く風に手を弾かれ
地を鳴らす
綺麗に施した柔肌が
固く渇いて転がる頃には
また、昨日とは違う日常が
様子を変えて過ぎていく
尊さを想い涙を隠す
頬杖はもう
その役目を果たしていない…
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