<SUN KILL MOON>-for/ブライアン
その日、風は責め続けた。月の光を手がかりに、故郷を歩き続けた。あれほど瑞々しかった田も、今は乾いている。用水路の水が音を立てて流れる。しゃがみこむ。用水路に手を入れる。冷たかった。凍えきった体が硬直する。「おまへは何をして来たのだ」と風が言う。だが、しゃがみこんで俯いたままではなかった。夜、空には月があった。月の光は家族までの帰路を照らしていた。民家が1、2軒しかない、一本道を。
その時、誰のためでもなく、誰かのために月はあった。
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