空を切る/伊月りさ
海岸線の弧が抉る
砂浜に埋まっている
息を
ひきとったはずの感傷が濃度を上げて
臭う潮風を
追放したい
繋がった手の
甲の皮膚から
繋がった肩に
鎮座するわたしの
頭は鳶を追っていた
幼少期に育てた海洋生物の
剥製の昔話を聞きながら見上げた
そこには、つぎはぎのわたしがいました
ああ
きみを解体したい、
網膜がまた我儘を言うのでわたしは
目蓋をおろした 青空の下で
ばらばらにしている、
きみを
再構成している、
夢をみた
からだろうか
眠れないまま夜が
過ぎていく
幼稚なエンジン音しかない国道が
遠い、
飛びたい、
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