力/
城之崎二手次郎
行きかう人でごった返す午後の駅。彼は広げたダンボールに座って柱に背をあずけていた。先ほどから、そばに転がっているペットボトルのキャップを指さし、その手をしきりに上下させている。どこかで叫び声が上がった。ひったくりだ。女性物のバッグを抱えた男が彼の前を走り抜ける。彼が指を向けると、男は誰かに投げられたように宙を舞った。駆け寄った人々に取り押さえられる男から目をそらし、彼は再びキャップを指さす。
あとがき。
二〇〇字物語第三十八弾。
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