色あせる空/タマムシ
 
れない経験という過去

(それ以上にあなたは
 遠くに行ってしまった)

小さいままでいたかったわたし
泣きじゃくっているうちに
誰かが見つけてくれる
そんな淡い期待を裏切るように
鮮明な現実がわたしを支配してゆく

  「また始まる今」

くやしいくらいに晴れわたる
空、見上げるのは
泣かないためじゃないけれど

その青空が色あせて見えるのは
わたしが大人になったからでも
わたしが泣かないからでもない

あなたがいない
それだけで

空がこんなにも色あせてしまうのだと
気づきたくはなかった
 

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