母乳/小川 葉
姉さんの
制服の胸のあたりが
丸いかたちをして濡れていた
その日は
雨が降ったわけでもなく
ただ姉さんは
少しだけ遅く帰った
姉さんの
こどもの口に
はじめておっぱいを挿入すると
すぐにむせてしまった
勢いが強すぎて
あたりかまわず濡らしてしまい
あるがまま
撒き散らされて
広がった
玄関にふたつ
きちんと並べられていた
ローファーにこびりついた精液を
指摘することもできなかった
濡れたまま乾いてゆく
制服のしみを知覚することなく
姉さんはひとりで
女のからだを洗っていた
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