待ち針/千波 一也
 


咲いてゆく音が
きこえます

川が
はじめて山をなすこころ、
そういうものが
乱れていきます


置いていかれることも
置いていくことも
じつは
まったく
同じこと

ほら、
よぞらの星はきれいでしょう

遠いでしょう



かばい合う布として
まっとうできる約束は
枯れないこと、
です

わずかな意味にも
枯れないことです



たとえ途切れてしまっても
ひとは絶えずに
棲むでしょう

やみのそこ、
もっともきれいな
ながれのなかで

その身をあらい
かがやくでしょう








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