『アイランド』/東雲 李葉
終末論に踊らされながら夕飯の献立を考える。
急がされてここまで来たけど特にすることもなくて。
世紀末の頃に流行っていた噂。昔の誰かの予言がどうとか。
今じゃもう流行り廃れて名前も思い出せない。
君と二人だけなら世界なんて滅んでもいいと、
そう断言できる僕を君は呆れて放っておくだろう。
だけど世界の終わる夜、太平洋上の小さな島で、
次世代の生命体にそのことを残したいとそう思っている。
今も地球の至る所では理由も忘れた争いが起きていると言う。
当たり前のように学んできたけど当たり前なんかじゃなくて。
幸せな時代に生まれてきたな、と祖父は堅い掌で僕を撫ぜる。
いつの日か世界よ滅べと
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