<SUN KILL MOON>-through/ブライアン
晴れた日、歩いていた。ビルと高速道路に挟まれた、歩道。国道246号線。東京で一番空が汚いらしい。それでも、空は青い。風が乾いている。もうすぐ冬だった。空も乾いていた。狭い空。見上げる。目に映るのは、ビルと高速道路の影ばかりだった。ビルの壁に太陽の光が照っていた。強く。明暗のコントラスト。そこに、風は吹く。乾いている。風が通り抜ける。風ばかりが通り抜けるわけではない。空気も、ビルも、道も。みな通り抜ける。狭い場所から空へ。貫く。
2004年冬、初台にあるオペラシティギャラリーへ行った。ウォルフガング・ティルマンスの展覧会。その日も晴れていた。風が冷たかった。乾いていた。痛みのような風が、通
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