超新星爆発/伊月りさ
わたしの
両眼は野良猫なので、まれに
きみの影で化けている
部屋の隅で、まれに
息の根を止め損ねたあの子が見えるのだが
わたしの
言語は蛭
だったのだ、たくさんの日本語が
彼の血を吸いたい
彼の血を吸いたい、と
どの血でもいいくせに情緒的なふりをして
キスで流れた唾液とともに心臓にはりついていて
不整脈になって口がぱくぱくになる
言語が流出して口がぱくぱくに
なっている、
ぱくぱくのわたしたち
箱根が得意だったという噂が実証されました
きみの心臓壁の筋肉は 強豪揃い
の わたしの蛭たちが大破してしまって
スーパーノヴァ 真っ赤に
秘密、好き、名前、嘘
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)