ヒエロムニス市内/キリギリ
君の部屋に行くとぼんやりした僕がいるからポンプで少しずつ邪魔にならないところへ追いやって欲しい/髪の毛に絡んだ蜘蛛の巣も今は空き家で枯れ葉舞う季節雪に埋もれる季節また芽吹く春が来ても変わらずにある/止まらない巻き尺のように永久の縦糸を握る欲深さを信心と呼んで繰り返すもう一丁繰り返す/留守電は無言でも『メッセージが一件あります』不安なんだ違う不満なんだ満ちくうね過ちが六件あります球体に横から押されるようなリアルだって勉強不足が原因で便所に飾られる生花に似た疎外感は努力不足が原因でどれもこれも手遅れなのかまだ間に合うのかべルコン乗ってるのが僕なのか君なのか見えなくなった今ではどっちとも言えない/万物の定義に駄馬を加えるか迷っている最中にも減っていく残高からこぼれ落ちた雑貨に右腕が混ざっていたような気がしてならない/言った側から「それは安いプライドだ」と返される自己紹介を三ヶ月続けた後の布っぽい気分で(終)
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