気付けば 秋/高杉芹香
し。
大好きな人もいて。
そこそこ大病せずに生きていて。
それでいて
まだまだ
焦るんだから。
贅沢なんだとも思う。
欲しいものは
なんなんだろう。
物欲は落ち着いてる。
分かっているんだ。
少し
ほんの少しでいいからと。
形のない
その
唯一のものに
欠乏している。
何度も喉が渇いて夜中も目を覚ましてしまう。
秋は好きなのに。
いやな秋だ。
ねぇ。
不意にそこにあたしがいなくなっても
許してくれますか。
逃げ出しても忘れてくれますか。
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