気付けば 秋/高杉芹香
 
なんていうこともなく秋が来て。

分厚くなった手帳をめくっていたら
仕事かライブか恋かしてなくて
秋が来ていた。

あたしの今年はなんだったんだろう。
こうやって生きてるのが危うく思えた。


不意に焦りに包まれる。
こうして人生が過ぎてってしまうんだろうか。

積み重ねて人生にしたいと思っているけど。
こうやって過ぎた日々を誇れるんだろうか。
これは積み重なった日々といえるんだろうか。


贅沢なんだとも思う。

両親も、生きていて。
仕事もあって。
ある程度の収入もあって。
仲間に囲まれていて。
ひとりじゃないし。
[次のページ]
戻る   Point(6)