気付けば 秋/高杉芹香
なんていうこともなく秋が来て。
分厚くなった手帳をめくっていたら
仕事かライブか恋かしてなくて
秋が来ていた。
あたしの今年はなんだったんだろう。
こうやって生きてるのが危うく思えた。
不意に焦りに包まれる。
こうして人生が過ぎてってしまうんだろうか。
積み重ねて人生にしたいと思っているけど。
こうやって過ぎた日々を誇れるんだろうか。
これは積み重なった日々といえるんだろうか。
贅沢なんだとも思う。
両親も、生きていて。
仕事もあって。
ある程度の収入もあって。
仲間に囲まれていて。
ひとりじゃないし。
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