蔦狩り/伊月りさ
 
わたしの声帯から延びた
蔦が
ビリジアンの意地悪だった
集合体は頑丈で 瑞々しい
唇をつたって、ずるずると
出ていく
あのひとの唇をつたって
入っていく
 取り返しのつかない色
 取り返しのつかない生長

 わたしの声帯は潤っているので
 枯れない蔦に
 きみは混乱して
 きみを罵っていた

幸せだから収縮したり、
退屈だから弛緩したり、
そんな
単純な生き物だと思われていたようです。
震わせる
声帯が
震わせる空気に響き渡るそれが
手首を切る嬌声だったり、
乳児を愛でる悲鳴だったり、
することを知らないのだろうか
ら、日の出まで眠れないのだろう
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