照らして/湿児えのき
 

川辺にて、そっぽ向く猫背
歌を口ずさんでは知らんふり

肌寒い夜が君を照らして
片思いしたままの猫戯らし
優しく優しく揺れている

浅い川が流れるのをみて
そこに漂いたいと思うけれど
猫背の君が私を呼んだ

口ずさんでいた歌の続きを忘れる
いつだって私の名は優しく呼ばれるから
やるせなくなるよ、

肌寒い夜が君を照らして
片思いしたままの私に差し延べられる、手
嗚呼、この手が好きだと言って
全てが伝わってしまわないかしら

猫背、君がこっち見てる
貸したセーターの匂いを嗅いで
あ、あ、嬉しそうに、笑った

そうそう、夢の話だったね
うん、私は

君と一緒にお風呂に入りたいな


(なんて、ね。


戻る   Point(2)