照らして/湿児えのき
川辺にて、そっぽ向く猫背
歌を口ずさんでは知らんふり
肌寒い夜が君を照らして
片思いしたままの猫戯らし
優しく優しく揺れている
浅い川が流れるのをみて
そこに漂いたいと思うけれど
猫背の君が私を呼んだ
口ずさんでいた歌の続きを忘れる
いつだって私の名は優しく呼ばれるから
やるせなくなるよ、
肌寒い夜が君を照らして
片思いしたままの私に差し延べられる、手
嗚呼、この手が好きだと言って
全てが伝わってしまわないかしら
猫背、君がこっち見てる
貸したセーターの匂いを嗅いで
あ、あ、嬉しそうに、笑った
そうそう、夢の話だったね
うん、私は
君と一緒にお風呂に入りたいな
(なんて、ね。
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