しらさぎ/ばんざわ くにお
 
朝から
お経が流れている
それはどこからともなく
流れてくる
となりの家の屋根を越えて
うねりながら
からまりながら
長くねじれた
二重らせんを描いて
川岸の水辺へ
つづいている
そこに一羽のしらさぎが
たたずんでいる
身じろぎもせず
すっと太古の昔から
そこに立ち続けてきたかのように
一羽でたたずんでいる
そのしらさぎの周りだけ
時間が止まり
音も消えて
おごそかな静寂の中
しらさぎはたたずんでいる

いのちをつなげるもの
いや
いのちがつないできたもの
いのちをのりついできたもの
あなたは誰ですか
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