さきっぽ/水町綜助
あんた
さけ
のみなはれ
のみなはれ
ってうたってんのか
千葉の空が高い
ツーストのゼッペケのハチの羽音みたいな排気音も高く
犬吠埼へ行った昔
犬は鳴いてなかった
灯台があって
ひとびとがいて
なぜかみんな海に向かって立ち尽くしていた
それしかしていないひとびとだった
そうやって
海を見ているから
潮風はちいさなしおみずを何粒も何粒も波頭からさらって
ひとびとにまぶしていくから
輪郭がぶよぶよとぼやけてしまう
てな訳がない
ただそうじゃないやつと
そう な やつがいるだけで
俺とかは
そう なんだ
しもきたの町の中でも
海でも
どこだって
俺は硬さにあこがれていて
あこがれていて
筋トレはしない
したことがない
それでいい
しみださせて
ちぎって投げて
のどが渇いたら掬ってのんで
四散できるならさせてみたい
飛沫がとんで
染みを作るように
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