ひとり遊び/小川 葉
 
が楽しかった
さかなは一匹も釣れなかったけど

父さんは
忙しくて食べられなかった
お弁当を食べてすぐに居間で眠ってしまった
焼酎はまだ
半分以上も残ってるのに

僕はまたひとり遊びをはじめていた
マドラーを釣り竿がわりに
ちいさなグラスに残る
焼酎をおおきな池ということにして
眠ってしまった父さんの手に持たせたり
僕が持ったりして
かわりばんこしながら
さかなが釣れるまで遊び続けた

こんど休みもらえたら
また一緒にいこうな

父さんの声をまねて
そう言うと
父さんはうんうんと
寝言で何度もうなずいた

グラスの氷がとける
微かな音がしたそのあたりを
さかなが二匹
なかよくならんで泳いでいた
やがてとけてしまう
父さんとふたりで遊んだ
休日の日々のように
 
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