夜のナイフ、君はとても美しい。/ブライアン
 
、アコードワゴンなんか、と言って馬鹿にした。あの日、彼は酔ったまま家に帰った。記憶はなかった。気がつくと自宅の布団に寝ていた。頭が痛かった。時計を見る。仕事の時間だった。あの日の次の日、彼は初出勤だった。気持ちが悪かった。彼は家を出る。家の前に止められた日産のスカイラインの扉を開ける。マフラー、タイヤ、エンジン。ありとあらゆるところを彼は改造していた。彼はエンジンをかける。回転数が上がる。昔から数字が苦手だった。けれど、車をいじり始めてから彼の会話の大半が数字ばかりだった。馬力、回転数、排気量。誰も理解できなかった。ただ、彼の車がものすごく速いこと、そして、ものすごく乗り心地が悪いことは理解できた
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