「脱力系」/広川 孝治
 
流されまいと必死で泳ぐと
いつかは疲れて溺れちゃう
体の力を抜いて
波を感じてみる
ほら見上げた空に浮かぶ雲が
形を変えて流れてゆく

上り坂を登るんじゃなくて
下るんでもなくて
寝っ転がって
空を見上げてみる
どれだけ登って来たかとか
あとどれ位登らなきゃだとか
全然関係なく
ただ青色が果てなく広がる空

誰のために生きるんだろうとか
自分のために生きるとか
しかめっ面して考えるのをやめて
ただビールのおいしさを感じてみる
そんな時があっても良いんじゃない?
だって空はいつだって青いんだし
どこにだって広がっている
僕はその下で生きてるんだ
いつだって

早朝の少し冷たくて湿り気を帯びた空気の匂い
焼いたシイタケと一緒に飲むビールの苦み
噛みしめると口の中ににじみ出る牛タンのうまみ
静かな夜に聞こえてくる鈴虫の音色

そんなのを
力を抜いて
感じる日々も
良いもんだよ・・
きっと
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