柿色の髪飾り/it
 

「柿色の髪飾り」

私はずっと窓の外を見ていました
お母さんが結婚して、お父さんが新しいおばあちゃんを連れてきました
何を話していいのか分からず
私はずっと窓の外を見ています
おばあちゃんにはきっと、私の横顔しか見えていません
きっと逆光だから、私の鼻ぐらいしか見えてないでしょう
どんな顔をしたら老人が喜ぶのか私には分からないので
ずっと何も知らない顔をして向こうを向いているのです
横では、おかあさんが落としたコップの破片をおばあちゃんが拾っています
その時に気づいたのですが
おばあさんには親指がありませんでした

知らなかったんだもんと、私は思いました
知ってい
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