十月病/
湖月
月のきれいな夜に ひとり帰る
金木犀の咲く季節はどうしてもうまく生きていけなくて
鞄の中のお守りを何度も確かめた
あまいあまい香りはわたしを狂わせる
満月の光にふるえながら
まだ温かい風がそよぐ道を
だれにも会わないように帰った
カーテンを閉め切った部屋は
散らかったままの毎日がそこにある
ひとつひとつ床に散らばるものを拾い上げ
並べてもまだ足りない
寄り添う過去はまだ やさしい色をもっているのに
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